【連載】ビジネスパーソン1,000人調査から紐解く企業における目標管理の実態①
日本企業の多くが導入している、MBOをはじめとした目標管理手法。ビジネス環境の変化と共に、従来の管理手法の限界を感じつつも、評価制度との関連や、運用面における課題等、高いハードルを前に検討が進まない企業も少なくありません。
一方で、アンテナの高い企業はすでに、OKR等の新しい目標管理手法を導入し、自律的に社員が目標に迎えるような仕組み作りを進めています。
企業のパフォーマンスマネジメント変革を支援する株式会社アジャイルHRは、現在の日本の企業における目標管理の実態と課題を調べるべく、全国のビジネスパーソン1,000人超を対象に、インターネット調査を実施しました。
【ビジネスパーソン1,000人調査から紐解く企業における目標管理の実態】として、2回に分けてその調査結果をお届けします。第1回目は、調査の概要と、企業が導入している目標管理手法について、いくつかの切り口から見えてきた結果を解説します。
【本アンケート調査の概要】
1.調査の目的
企業のパフォーマンスマネジメントと従業員のキャリアマネジメントをうまく回していくためには、適切な目標管理と上司と部下のコミュニケーションが重要だとアジャイルHRは考えます。 そのため、日本の企業における目標管理の実態と課題を把握することを目的とするアンケートを実施し、現在の日本企業の状況を調査しました。
2. アンケート設問
今回の調査では、目標管理の状況について4問のアンケートを実施しました。
① 社員の目標管理をどのように行っていますか?(単一選択)
② 現在の目標管理手法の効果やメリットはなんですか?(複数選択)
③ 現在の目標管理手法について、課題に感じていることはなんですか?(複数選択)
④ 現状の目標管理は自社に適しており、このまま続けるべきと思いますか?(単一選択)
3.アンケート調査期間および手法
2024/02/28~2024/03/01 インターネット調査
4.調査対象
全国の従業員500名以上の企業に勤める会社員 1,124人(インテージ マイティモニター登録者) 企業規模および業種は下記の通り。
■企業規模■
■業種■
【導入している目標管理手法は?】
まず初めに、職場において、目標管理を行っているか、行っている場合はどのような手法を利用しているかを調査しました。
従業員500名以上の企業に勤める会社員1,124名のうち、933名(83.0%)が、目標管理を行っていると回答しています。
目標管理を行っていると回答した会社員に、どのような目標管理の手法を企業として導入しているのかを質問したところ、内訳は図1の通りとなりました。
なお、「MBO」と「OKR」は、下記のように定義してアンケートを行いました。
MBO=期初に会社の目標を個人にまで配分し、期末に目標の達成度に基づき人事評価を行う方法
OKR=会社の目標達成に向けて各人が主体的に野心的な目標を設定する方法。人事評価とは直接連動させない
■図1 導入している目標管理手法の内訳■
約半数の449名(48.1%)がMBOを導入していました。MBO以外の目標管理手法としては、自社独自の目標管理が19.2%、現場運用が16.5%、プロジェクト単位での目標管理が9.5%、OKRは6.6%でした。
次に、回答者を企業規模別に分け、企業規模によって目標管理手法にどのような違いがあるのかを調査しました。
結果は図2のように、最も導入比率が高いMBOは、従業員数が多くなるにつれて導入比率が高くなっている傾向が見られました。
■図2 企業規模別の目標管理手法■
また、業種別の目標管理手法(図3)を見ると、MBOの導入比率は、「生活関連サービス業・娯楽業」、「情報通信業」、「製造業」が高く、「運輸業・郵便業」、「電機・ガス・熱供給・水道業」、「その他サービス業」が低いという傾向がありました。
■図3 業種別の目標管理手法■
以上の結果から、多くの企業では何かしらの目標管理手法を導入しており、そのうちの約半数がMBOを活用していることが分かりました。OKRについては今回の調査においては、6.6%となっており、まだまだ運用をしている企業が少ないようです。 第2回目のコラムは、MBOの効果と課題についての調査結果をお届けします。